所長のつぶや記

健診から2週間後、大腸の精密検査も終えられ、奥様も交えて一献の儀。今回の受診についての感想をお聞きしました(本当はお嬢様にもご同席いただく予定でしたが、夏休みでご不在でした)。
私「受診がかなりのストレスになったようで・・」
寺田さん「いや、もう、この1カ月というもの、すごいストレスだったですよ。検査の日が近づいてくるにつれてそれが段々昂じて、1週間前にはとうとう不眠症になりましてね」
こういうストレスは寺田さんにとってはもちろん初めての経験のようでした。
「これってすっごく身体によくないと思うよ」
と、訴えるものの周りのどなたにも取り合ってもらえず、妹さん(俳優中山仁さんの奥様)には、
「これはあなただけのためじゃないんだから」
とこちらでもアウエーのお言葉。所属事務所の社長さんからは、「いやぁ、寺田さん、よくぞ健診を受ける気になって頂けました」とも喜ばれた由。
生まれて初めての健診に臨んで、そのストレスというものについて伺ってみました。
最初のうちは何かわからないけれども、自分の体に何か異常がみつかるのではないかという漠然とした不安(それはこれまで全く病院に無縁であったという健康への自信とは裏腹のもの)。それがご自分のリスクであるタバコに結びつくと、肺癌ではないか、と具体的なイメージに変わって来る。
ここのところ妙に肩凝りがするけれど、ひょっとしたらこれがその症状ではないか。そう言えば、癌になってそんな症状を訴えていた奴がいたっけ・・・。
寺田さんのお師匠さんであられた三木のり平さん、親友で映画監督の実相寺昭雄さん、相米慎二さん、落語家の古今亭志ん朝さん、と仲の良かったご友人の方々が癌でお亡くなりになっています。
東海大学の特任教授でもある寺田さん、健診当時は1000人近い受講学生さんの提出した大量のレポートの採点に日夜取り組んでおられ、肩凝りはそのせいだったと、これは後になっての笑い話。
「でもぼくは今回、健診を受けてみてホントに良かったと思いますよ」
寺田さんが仰るには、健診に無関心であった背景として、人間ドックというものの敷居の高さというか、煩わしさ。わざわざ丸1日もかけて苦しい(と聞いていた胃カメラなどの)検査を受けるのが厭だ。要するに面倒臭い(と思い込んでいらっしゃった)。そして「俺は好きなことやって、あとはどうなったっていいんだよ」という「無頼漢魂」というか、「粋がり」のような意識がどこかにあった気がする、と。
「それが実際に受けてみたら実にあっけなく済んじゃった。まず受付から各検査への誘導が非常にスムースで丁寧だったし、苦しいと聞いていた胃カメラも、鼻から入れられて何の苦痛もなく、自分の胃の中を見せられ、説明を受けながら大した時間もかからず終了。結果説明が終わるまで半日足らずだったし、ぼくが思っていたよりはるかに簡単だった」
「ほんまに、これでひと安心ですわ」
と京都出身の奥様。そうです。健診はご自分のためだけでなく、ご家族や親しい周りの方たちのためでもあるのです。
「それから健診を受けて良いと思ったのは、この先、自分の身に具体的にどういうことが起こりうるのか、それが明らかなイメージとして示されたことだね」
漠然としたものでなく、かなり明確なイメージとして将来の健康状態を予測、把握できるということは、これから自分はどのような生き方をして行くべきなのか、を考え直すことに繋がるものであると。
「結論と致しまして、今の健康状態をこれからも維持されるには、禁煙して月に1回、ボクと皇居1周走っていただければよろしいかと・・・」
私のことばに寺田さん(私のマラソン趣味をご存じで)、ニヤっと笑って、
「ほら来ましたよ。気をつけないと、
とかわしながら、一献、また一献。
それでも健診の日以来、ほとんどタバコを口にされていないと(さすが、偉い!)。
寺田さんに末永くお元気にその芸道を突き進んでいただくこと、それは日本の文化、芸能にとっても大いなる意義を持つものだと、私は思うのであります。
健診など振り向きもしなかった寺田さん。来年も受診に来て頂けることになりました。
で、最後の質問、
「初めて健診のピッチに立たれたわけですが、同じように健診に無関心なほかの方々にもこれをお勧めいただけますでしょうか?」
「え~、わたくし、このたびの受診で健診のピッチというものが決してアウエーではないと、肌身をもって実感いたしました。これからはここをホームとしてどんどんシュートを狙い続けてまいりたいと思っております。もちろん仲間たちにも勧めましょう!」

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