<胸部X線>
胸部X線検査では、肺の病気や心臓の大きさ、動脈硬化、胸部大動脈瘤の有無などがわかります。
心臓 所見
心拡大 心臓の陰影の幅が胸の横幅の50%よりも大きくなっています。肥満、心不全、心臓弁膜症などの場合に見られます。
心周囲脂肪沈着 心臓のまわりに脂肪がついている所見です。特に心配はありません。
大動脈石灰化 大動脈にカルシウムが沈着している状態です。加齢とともに多く見られます。動脈硬化などの場合に見られます。極端な大動脈の拡大が伴わなければ心配ありません。
大動脈延長 大動脈が動脈硬化のため延長・蛇行している状態です。
大動脈拡大 大動脈の径が拡大しています。大動脈弁閉鎖不全、大動脈瘤などの場合に見られます。
右側大動脈 通常心臓から出た大動脈は胸部では左側を通って腹部に至りますがこれが右側を通る場合、右側大動脈といいます。先天的なもので病的な意味はなく、問題ありません。
肺 所見
肺硬化巣・肺石灰化像 以前の肺内部の炎症が治癒したあとの名残です。古い結核のあとなどにしばしば見られるもので、通常活動性はなく問題ありません。
胸膜癒着・肥厚 肺を包む胸膜に炎症が起こった跡の所見で、通常活動性はなく、問題ありません。無症状のうちにこのような変化を来たすことがしばしばあります。
肺炎症性瘢痕(はんこん) 肺に炎症が起こった跡の所見で、通常活動性はなく、問題ありません。
肺紋理増強 肺に通常存在する血管、気管支などの組織がふつう以上に強調されて撮影された状態を示しており、これが病的かどうかは症状や診察所見などと併せて判断されます。
肺門リンパ節石灰化 左右の肺の間にあり気管や血管の出入り口になっている部分のリンパ節にカルシウムが沈着したものです。通常、古い結核の結果としてみられます。
縦隔リンパ節石灰化 左右の肺の間にある縦隔のリンパ節にカルシウムが沈着したものです。通常、古い結核の結果としてみられます。
肺嚢胞(のう胞) 肺胞が破壊や拡張によって、隣接する肺胞と融合して袋状になったものをいいます。これが破れると自然気胸という肺がつぶれてしまう病気が起こりますが通常、問題となることはありません。
肺気腫様変化像 肺胞が壊れたり、弾力性を失った結果、肺全体が膨張した状態を表しています。症状や喫煙歴、診察・肺機能検査所見などと併せて病的な度合いを判断します。
肺線維化傾向 肺が弾力性を失い、硬くなった状態を表します。症状や診察・他の検査所見などと併せて病的な度合いを判断します。
板状無気肺 肺のごく一部が虚脱したもので、ほとんどの場合、病的な意味はありません。
気胸 肺の一部が破れて縮んだ状態です。治療が必要です。
胸水 胸部に液体が貯留したものです。原因を調べる必要があります。
奇静脈葉 肺の先天的な構造異常で病的な意味はありません。
縦隔異常 左右の肺にはさまれた部分で、リンパ節、神経、大血管など多くの臓器があるところです。この部に何らかの異常があることを示しています。
横隔膜挙上 片方の横隔膜が通常よりも上がった状態で、通常は問題となることはありません。
横隔膜ヘルニア 横隔膜の孔から食道などの腹部臓器が胸部へ入り込んだ状態です。ほとんどの場合、治療は不要です。
キライディティ症候群 右側の横隔膜と肝臓の間に腸が入り込んだ状態です。通常、治療は必要となりません。
気管偏位 胸部の中心にあるべき気管が左右どちらかに偏ったもので、甲状腺や腫瘍などの原因によるものかどうか、調べる必要があります。
気管支拡張症 気管支の一部が拡張した状態です。日常的に咳や痰がみられるようでしたら治療が必要になる場合があります。
肺線維症 肺の中の間質という組織(肺胞や血管、気管支などを包み支持する組織です)が線維化を起こしている病気です。
骨 所見
脊椎側弯 背骨が左右どちらかに湾曲している状態です。程度が著しく心臓や肺を圧迫して機能異常をもたらさない限り問題になることはありません。
変形性脊椎症 胸部(および一部腰部)の脊椎が硬化したり、変形している状態です。痛みなどの症状がなければ通常問題ありません。
肋骨骨折所見 健診で認められるこの所見はほとんど過去の骨折で、問題となることはほとんどありません。
肋骨変形 肋骨の骨折後の所見を含む変形で、まず問題となることはありません。
骨硬化像 骨の一部が硬くなっていることを示します。ほとんど問題ありませんが、まれに骨の腫瘍との見分けが必要になることがあります。
漏斗胸 胸の前面中央にある胸骨が内側に陥凹していることをいいます。